前回のブログで、当店では日本の理容師法における消毒法に基づいて、
顔そり用カミソリの消毒を実施している旨を紹介させて頂きました。
カミソリの消毒について書いていると、日本でのとある理容師さんとのやり取りを 思い出しました。
普段自分自身の髪は、お店の同僚に切ってもらったり、
新人の練習台として切ってもらったりしているのですが、
時々勉強のために他店に行ってカットしてもらいます。
その際、同業と知られると嫌がられることもあるので、一般のお客として施術してもらいます。
日本である比較的料金の安いお店に行ったとき、店内の設備を見渡して
「このお店ちゃんと器具の消毒してるのかな?」と思い、素人の振りして
「顔そりのカミソリってやっぱ消毒するんですか~?」と聞いてみると、
「あ、うちは替刃式のカミソリ使ってるんすよ~」という答えが返ってきました。
『刃を交換してるんで消毒する必要ないんすよ~』という主旨の回答だったのです。
実はこれ、あまりよろしくないお店にありがちな危ない回答なのです。
前回、紫外線消毒は替刃式カミソリに向かないと書きましたが、
替刃式カミソリは、本体が替刃を挟み込むような構造になっているので、
内側に狭いすき間があり、そこには光線が届かないので紫外線消毒ができないのです。
※片刃の替刃式カミソリ
このすき間の部分は、分解して綺麗に清掃及び消毒する以外には、
カミソリ本体まるごと加熱したり、液体系消毒液に浸したりしないと
綺麗に消毒できません。
替刃だけ取り替えたとしても、もしすき間部分に細菌が入り込んでいた場合、
そこに残り続けて繁殖し続けてしまいます。
また、普通はお客様1人毎に替刃を交換するとは限りません。
というのも、替刃はよっぽどの剛毛なヒゲをお持ちのお客様でないかぎり、
1回お顔そりしたぐらいでは刃先はダメになりません。
顔そりをしない中高生の襟の産毛だけを剃っても、替刃は新品同様の切れ味のままです。
ですので、1枚の替刃で、お客さまごとに綺麗に消毒をして数回使用するのが普通です。
恐らくそのお店は、替刃を交換してるから大丈夫と言いつつ、
替刃の切れ味が悪くなった時だけ替刃を入れ替えながら、
カミソリ本体はずっと消毒せずに使い続けている可能性が高いです。
もし「うち替刃式なんで~」と言っている床屋さんに出会ってしまったら、
「え?消毒はしてないってことですか?」
「替刃も高いんでしょ?本当に1回使ったら捨てるんですか?」
「替刃式でも消毒する必要があるって聞いたことありますよ?」
と追い詰めちゃいましょう。(笑)
お店で実際に使っている替刃式カミソリ
奥の方が片刃で、手前のが15年以上使っている昔ながらの両刃の替刃式カミソリです。
実はこの型のレザーは生産終了になっていて、理美容器具の専門業者に問い合わせても
手に入らないお宝カミソリです。
内側まで公開に堪えられるぐらいに清潔に保っています。
これらを使用するにあたり、お客様1人ごとにエタノール液に浸す形での消毒及び
定期的な内部の清掃を行なっています。
また当店では、替刃式カミソリだけでなく本レザーと呼ばれる替刃式ではないカミソリも使用しています。
このレザーの特徴は、断面が「コンケーブ」と呼ばれる内側に反った形状になっていることです。
刃先近くがとても薄くなっています。
この形状により、刃先の衝撃が吸収されて肌へのあたりが優しくなります。
女性のお顔そりに向いています。
本レザーは、研ぐ技術を習得するのが大変ですが、消毒に関して言えば、
替刃式と違い、きれいに水洗いした後、エタノールを含ませたガーゼ等で拭き取ることで
簡単に消毒できます。
ブライダルシェービングや男性&女性のお顔そりを専門にしているお店のブログで、
「ほとんどの理容店が替刃式ですが、うちはこだわっているので本レザー使ってますよ~」
と書いているのを見かけて対抗心が湧いてきたので、うちも本レザーも使っていることをPRするために、
わざわざ紹介させて頂きました。(笑)
カミソリにこだわり続けていると、最終的に「日本剃刀(にほんかみそり)」も欲しくなってきました。
最近では伝統的な日本剃刀を製造できる職人さんも減っていて、業務用の量販品として
購入することはできません。
ですので、少々お金がかかってしまうのですが、いつか買いたいなと思っています。
もし日本剃刀を入手した暁には、お顔そりの際「日本剃刀で!」とお声かけ頂くと、
日本剃刀を使ってのお顔そりをさせて頂けるようにしたいと思っています!
日本剃刀は何が違うのかについては、後日書いてみたいと思います。
話がそれましたが…
以上の様に、当店では使用するカミソリの特徴も踏まえた上で、
適切な消毒を実施しております。
上海で安心してお顔そりをすることができますので、
どうぞ、よろしくお願いいたします。