先月の記事ですが、こんなのがシェアされてました。
この記事の
アジア某都市 ケース1
(自分のミスを認めようとしない、仕事が残っていてもさっさと帰ってしまうといった現地スタッフに振り回され続け云々…)
を読んで「あるある!」「これ上海だろ!」
とか言いながら皆で共感してました。
上記のケース1の話と、お客様から時々お伺いする実話から想像するに、
↓こんな事が上海の日系企業のいたるところで発生しているのではないかと思います。
(あっ!俺の話を公開しやがったな!と言われないよう、実話からアレンジ加えてます^^)
↓
とある日系企業上海現地法人で働く駐在員のAさん。
明日は大事な得意先に商品を納品することになっている。教育の為と現地化を進める為、現地スタッフのB君に基本的に任せているが、トラブルなく納品できるよう管理指導するのがAさんの仕事。
順調に進んでいるか確認しても、いつもB君の答えは「没問題!(mei2 wen4 ti2、問題ないっす!)」。それでも慎重なAさんは、納品の際は工場から得意先に直送ではなく、必ず会社に商品を届けさせ、自分たちで商品のチェックや動作確認を行ってから得意先に届けるようB君に要求していた。しかし、納品前日の今日時点でまだ商品が届かない。
Aさん「商品はいつ届くの?」
B君 「馬上!(ma3 shang4,もうすぐの意味)」
Aさん (馬上っていつだよ…。馬上って確か「もうすぐ」の意味だったよな。。。中国人の馬上っていったい何分後なんだよ。。。)
そして、終業時間の18時。あれ?B君がいない!商品も届いてないじゃん!
そこでB君に電話。
Aさん「どうなってんのよ!?」
B君「工場の都合で明日にならないと商品が完成しないから、直送することになりました。」
Aさん「そんなのダメだよ!何があるか分からないから、工場に相談して何とか今日中に届けさせてよ!」
B君「無理です。工場も終業時間なんで誰もいませんし。」
Aさん 絶句…
得意先に今さら納品遅れるとは言えず、祈る気持ちで明日を待つことに。
予想通り、たいていこういう状況だとトラブルが発生してしまう。。。
翌日、得意先から電話。
得意先「あのさぁ、Aさん。やってくれたねぇ!」
Aさん「はっ!いかがされましたでしょうか?!」
得意先「納品予定時間に遅刻してくるのはまあいいんだけどさぁ、全然違う型番の商品が届いてるよ!」
Aさん 絶句…
ひたすらお詫びしたあと、B君を呼び出す。
Aさん「ほらやっぱり問題が起こったでしょう!」
B君「没問題~!」
Aさん「www何が没問題だよ!問題が発生したの!」
B君「没問題ですよ。今回お客さんが欲しい機能はこういう機能で、型番違っててもその機能はありますから!工場からその型番なら間に合うって言われたんで、私が気を利かせて変えさせたんですよ。」
Aさん「ダメだよ!契約書にも型番が記載されてるんだよ。お客様はこの型番を発注したの!だからこの型番じゃないとダメなの!」
B君「没問題!書面なんか作り直せばそれで終わりでしょ。お客さんが必要なのはあの型番ので問題ないから、Aさん得意先に連絡して説得して下さいよ!」
Aさん「チョ…!おま…」
そして、追い打ちをかけるように日本の本社から電話が。
日本本社の偉い人「やってくれたねぇA君!あそこは日本でも大事な得意先って知ってるよねぇ!?どうしてくれるんだ!夜遊びしすぎで頭ボケてきてんじゃないの?!」
こういう状況でひと昔前に駐在員さん達の間で流行った言葉が、
『OKY』
O お前
K 来て
Y やってみろ
現地の大変さも知らずアレコレ言ってくる日本本社の人に言いたいキーワードらしいです。
これが言えたら、さぞ気持ちがよいと思います。
Aさん「大事な得意先な事ぐらい知ってんよ!だからやれることは必死でやったよ!あんたこっちがどんな状況か分かってねーだろぅ!文句があるなら、
お 前 来 て や っ て み ろ !」
そして更にこう付け加えたいことでしょう。
Aさん「てかあんた、先月現地視察とかで来たけれども、半分はKTVの視察じゃねーか!あん時の発票(領収書)、この後本社に送るから、そっちで処理しろや!!」
日本本社の偉い人「チョ…!おま…」
これが言えたら、ストレスの無いビジネスライフを送れるのでしょうが、
きっと出世の可能性も無いビジネスライフとなってしまうでしょう。(笑)
こうして、得意先と現地スタッフと本社との板挟みになり、同じことが慢性的に続くことで冒頭のヤフーニュースのA氏のように抑うつ不安状態になってしまう方がでてきてしまうのでしょう。
精神的に弱いからという訳ではなく、「生真面目で頑張り屋ほど危ない」と言われてるように、
「部下のミスは自分の責任」
「言い訳はしない」
「得意先の要求は必ず実現する」
という気持ちが強ければ強いほど、ポキッと折れてしまうことがあるんじゃないかと思います。
床屋さんは、皆様に癒しを提供するところです。
なので、こんなメッセージを発信したいです。
仕事に完璧を求め続けるのは、決して間違っていないとは思います。
世界一真面目で仕事に対して真剣な日本人だからこそ、こんなに豊かな日本ができあがったんだと思います。
しかし、ここは中国。
環境が違いすぎます。
仕事を成功させる為の考え方だけでなく、いかにストレスを溜めすぎないようにするかという考え方も持ち合わせておかないと、病気で会社に迷惑かけるだけでなく、自分自身さえも危うくしてしまうかもしれません。
自分に対しても現地スタッフに対しても結果に対しても、完璧を求めすぎないほうが良いと思います。
Aさんの様なケースが発生しても、本社が倒産してしまうなんてことは無いでしょうし、このスタッフが最悪の失敗をしたとして結果はここまで、と理性的に考えて腹を括ってしまえば気持ちも楽になります。
そもそも日系企業が現地で会社を立ち上げて、中国人スタッフを教育して、そう簡単に日本と同じクオリティ、日本と同じ品質の会社になる筈がありません。もしそうなるなら、中国人はそうとう優れた方々だということになってしまいます。
たぶんビジネスの場では言ってはいけない言葉でしょうけど、
中国人現地スタッフを使って、日系クオリティーを提供するなんて、
ぜぇ~~~ったい無理ぃ~!!!
なんです。
この辺きっと得意先の方も中国歴が長ければ理解があり、意外に救いになってくれるのは本社の方ではなく、得意先の担当者さんだったりします。誠意をもって経緯を説明すれば、
「あ~。そういう事だったのね。お互い大変だね。じゃあ今回はこの型番で様子見るから、先々問題出たらそちらで処理して下さいね。」
的な天使のような対応をしてくれることもあります。「言い訳」というと聞こえが悪いですが、「説明をしてお客様にご理解を頂く」というのは良いことなのだと思います。
ということで、前置きが長くなりましたが本題に入らせて頂きます。^^)
日本人店長として、日本人のお客様に快適に過ごして頂けるお店づくりに努力しておりますが、中国人オーナーが立ち上げ、中国人スタッフを使い、中国人のお客様(売上の約50%程度)もいるお店ですので、完全な日本人向けのお店にはできておりません。
日本の理容室美容室と同じようにはならない点がございますので、日本と同じようなお店なのだろうと思ってご来店されたお客様が、ご来店してから驚いてしまいませんよう、以下にご説明をさせて頂きます。
1.店内の鏡を使ってスタッフが身だしなみを整えたりドライヤーでセットしたりすることがございます。
日本では普通の美容室ではこの様な光景は見かけないかと思います。普通はお店のオープン前30分ぐらいに皆出勤し、オープン時間の前までに自分の身だしなみを整え終えます。
当店の場合は早番と遅番を作っており、遅番のスタッフは営業時間中に出勤することとなり、彼らが身だしなみを整える為に店内の鏡やドライヤーを使わせております。スタッフが身だしなみを整える為の専用スペースがあれば良いのですが、それを準備するのは難しいため、ご理解頂ければと存じます。
2.お客様の待合スペースでスタッフが休憩させて頂くことがございます。
当店の常連客様の中には、待合スペースのソファーでお待ちの際、隣に座ってスマホでゲームしている中国人が突然立ち上がり「それではシャンプーします」と言い、「スタッフだったのかよ!」と驚かれたお客様もいらっしゃるかと存じます。日本人のオーナーが内装設計した美容室であれば、たいてい裏のスタッフルームがきちんと設計されて、スタッフはそこで休憩するようになっています。中国の場合はスタッフルームをちゃんと確保しているお店は多くありません。よくローカルレストランにいくと、隣のテーブルでお店のスタッフがワイワイ食事してるのを見かけると存じますが、あれも同じような事情だと思います。当店もスタッフルームが設計されていないため(ルームと呼べない倉庫兼炊事スペースのみ)、待合スペースのソファーをスタッフ休憩場所と兼用させて頂いております。
もちろんお客様優先という教育はさせて頂いておりますので、スタッフがソファーを占領して座れないということはございません。
日本のホテルや百貨店でも時々見られる「このお手洗いは従業員も使わせて頂いております」というのと似たようなものと、ご理解ご了承頂けましたら幸いです。
3.スタッフがお客様の目に入るところでスマホをいじることがございます
彼らはスマホ中毒にかかってしまいました。当店のスタッフだけではなく、中国の若者全体に蔓延していることはご存じの通りかと存じます。当店では「教育」は行っているのですが、病院ではありませんので中毒症状の「治療」をする力がありません。彼らからスマホを取り上げると、発狂するか翌日からストライキを起こすことが容易に予測できます。
解決方法は、彼らがスマホで遊ぶ時間がないほどお店を忙しくするしかありませんが、それもすぐにはできそうにありません。
必要があってスマホを携帯させている面もあることはあります。日本では基本的に予約の窓口は受付電話のみで、仕事中はスマホ禁止というのが多いですが、中国の場合スタイリストがお客様と直接連絡先を交換して、直接スマホで予約を受けるケースが多いです。中国人スタイリストがカットの途中に電話に出るという異様な光景を目にされるかと存じますが、たいていお客様からの予約電話を受けておりますので、ご理解頂ければと存じます。
4.受付で日本語が通じない場合がございます
人件費高騰は理美容業界も例外ではなく、受付専門のスタッフとして日本語ができる子を雇うのは少々難しい状況でございます。ご予約を頂いておりましたら、できるだけ私が直接お迎えさせて頂くようにしております。接客中でそれが難しい場合もございますので、お店に入られた際に受付スタッフと言葉が通じなかった場合、そのまま待合ソファーにおかけになってお待ち頂ければと存じます。私か日本語可能なスタッフがご案内に参ります。
だいたい以上の様な感じでございます。
私のプロフィールには、「理美容技術を日本品質で提供」と書かせて頂いております。
これは、極論すれば日本品質で提供するのは私の接客と技術だけで、その他は中国ローカル店と同様ということでございます。(※パーマ剤カラー剤も日本製を使用しています)
日本にもありそうな、お店はボロくて接客も良くないけど、味だけは絶品なラーメン屋さんみたいな感じと思って頂ければ幸いです。そう思ってご来店頂きましたら、「おっ、それほど悪くはないじゃん」と思って頂けるかと存じます。(笑)
以上、
これで楽になりました。
ありがとうございました。
今後とも、ご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。